はじめに

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よこすか子ども科学賞 よこすか子ども発明展 奥付

 

は じ め に

 

 横須賀市教育研究所では理科教育を推進しており、子どもに直接関わる事業として、年8回開催される土曜科学教室や、夏休みに開催されるサイエンスサマーという催し物を実施しています。毎回、多くの応募があり、参加する子どもたちは目を輝かせて実験や観察に取り組み、たくさんの発見をしています。
 この研究集録は、小学生・中学生が取組んだ自由研究の中から、各学校で特に優秀な作品を学校代表として提出された作品を集めたもので、本集録で第62集となりました。

 

  自由研究は、知識を先取りすることではなく、自分自身が持っている知識を幅広く発展させるとともに、研究する楽しさを知ることです。 簡単に表現すると、「不思議だな」、「やってみたいな」と思うテーマをもとに、「もっと調べたい」、「もっとやってみたい」、「実現したい」 と思うことについてじっくり取り組むことです。そして、この自由研究では予想や仮説をもとに調べる方法を考えるなど解決への見通しをもち、 実際に観察・実験し、結果を記録し、結果をもとに考察し、結論を導いていきます。この一連の過程は社会に求められる問題解決の力を身に付けることにつながります。
 

 2023年8月25日に国連広報センターから「地球沸騰化の時代」気候アクションが発表されました。その中で、アントニオ・グテーレス国連事務総長は、「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰化の時代が到来した。」と記者団に語ったことが紹介されています。国内でも最高気温の記録更新、平均気温の上昇、集中豪雨や干ばつについての報道がされたことは、記憶に新しいことと思います。
 

 気象庁や多くの関連する研究者は、集中豪雨が起きる仕組みや予測に向けた分析、検証を行い、防災に役立てようと取り組んでいます。人工的に雨を降らす実験も行っています。しかし、この取り組みは成功ばかりではなく、失敗と改善を繰り返しながら少しずつ精度が上がってきています。
 例えば気象学者で名古屋大学教授の坪木和久さんは、世界に誇るスーパーコンピューターを使い、台風がどのような動きをしているのかを「観て」、さらにそれが本当に正しいのか、台風の目の中という現場に出向いて「測定」しながら、そのメカニズムの解明に迫っています。
 研究の成果が出るまでには、たくさんの研究の積み重ねの上にあります。つまり、研究で最も大切なことは「あきらめない」ことです。

 

 子ども達は、将来の予測が困難な時代を生きていきます。今年、この研究集録に発表してくれた 小さな研究者たちが、困難に出合っても諦めず取り組み続けることで、身近で小さな発見をしたり、社会の問題を解決したりするなど、次の時代を牽引していく存在になっていくことと信じています。
 

  最後になりましたが、本研究集録の作成にご協力いただいた各校の先生方に感謝を申し上げますとともに、熱心に研究に取り組んだ多くの児童生徒のみなさんの努力に敬意を表します。

 

横須賀市教育研究所長 梅谷 尚子

更新日:2024年03月07日 12:03:38