月報 2004年度 5月号

平成16年(2004年)5月1日
編集発行・横須賀市教育研究所/代表・五ノ井文男
〒239-0831 横須賀市久里浜6-14-3
TEL(046)836-2443(代) FAX(046)836-2445
E-mail: admini@kenkyu.yknet.ed.jp

巻頭 特集 研究員会
研修セクション 教育情報セクション こくばん
「研究所月報バックナンバー」へ戻る

 

巻頭


今年度の教育研究所の事業

◆16年度が始まり早くも一ヶ月が過ぎました。各校とも創意ある教育課程を編成し、魅力ある教育活動を展開しているところだと思います。
◆教育委員会では今年度の重要課題といたしまして、「確かな学力の育成」と「不登校対策」を取り上げ、積極的に取り組んでまいります。
◆昨年10月、中央教育審議会の答申により、「確かな学力」の育成が今後の教育の課題の中心であることが再確認されました。「確かな学力」の育成は、基礎・基本の確実な定着をはかり、思考力・判断力・表現力などの育成をはかることです。このことは、これまでの教育が目指してきたものであり、特段新しいことではありません。これまで以上に目的意識を持って、着実な教育活動を進めていくことが大切であると思います。
◆本市における不登校児童・生徒数は、学校の様々な取り組みにもかかわらず、平成16年2月の時点で、14年度と同じか、やや上回る出現率になっています。学校は、児童・生徒に確かで豊かな学力を育てる場であると共に、多くの同世代の子どもたちや教職員が関わり、様々な経験の中から人間関係能力などを身に付けていく場です。公教育であり義務教育である学校には、すべての子どもが通うことが保障されるべきと考えます。そういった意味では、不登校という状況は解消すべき問題であると思います。
◆今年度の教育研究所の運営基本方針は、昨年度に引き続き「本市の学校教育活動全体の質的向上を目指し、教育改革推進のための情報提供・発信をより一層進める」とし、学校に対する支援を積極的に行ってまいります。教育研究所の三つのセクションの重点目標は以下の通りです。
《研修セクション》-研修内容の充実と精選-
・教育の改革期に対応した研修講座の設定と内容の充実を図ります。
・不登校対策に関連した研修を充実させます。
・ITを活用した教員研修の取り組みを進めます。
《教育情報セクション》-教育の情報化推進-
・教職員のスキルアップを進めます。
・児童生徒のIT活用能力の向上を図ります。
 (スクールデジタルコンテストを実施します。)
・スクールネットを充実させます。
《教育相談セクション》-教育相談活動の充実-
・不登校対策を推進します。(適応指導教室スペースゆうゆうの拡充を行います。)
・訪問相談を充実させます。(5名の訪問相談員を配置し、積極的に学校を支援していきます。)
・青少年相談センターの相談機能と連携し、より幅の広い相談活動を実施します。
◆今年度の教育研究所の様々な事業にご理解ご協力をいただきながら、各事業を推進してまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
(所長 五ノ井 文男)
本年度の教育研究所のスタッフ

▲TOPに戻る

 

特集


私の学級づくり~新学期を迎えて~ 

低学年お楽しみセット 
山崎小学校 教論 中山 真美

 9年の教員生活のうち、低学年を5回受け持ちました。低学年の担任をした時に、ほとんど毎日、1年間続けることがあります。「かもつれっしゃ」と「おはなしのへや」です。
 「かもつれっしゃ」はじゃんけんでつながっていくゲームです。最初は知らない相手でも肩に手を乗せるうちに親近感が生まれ、大勢の友達とつながっていく楽しさを肌で感じることができるようです。最初は一人一人ばらばらだったのに、だんだん一つになっていく様子は、みんなの心もつながっていくようでとても素敵です。子どもたちもそれがわかるのか、毎日毎日飽きもせず、回を重ねるほど盛り上がります。40人のクラスでも、毎日やると全員1回はチャンピオンになれるようです。
 「おはなしのへや」は、絵本の読み聞かせです。おもしろい絵本でしたらどんなに騒いでいた子でも静かになり、食い入るように見つめてきます。毎日続けると子どもたちが落ち着いてきて、静かに人の話を聞くことが自然に身につくような気がします。また、特別な読書指導をしなくても、自分からどんどん絵本を読むようになりました。とにかく毎日一冊は読んであげること、子どもたちが引き込まれるような内容の絵本を選ぶことが大事だと思います。
 私はこの二つのことを、「動」と「静」のメリハリをつけるためにセットでやります。これが、通称「お楽しみセット」です。集中力が長くもたない低学年の子どもたちの様子を見ながら給食前などに取り入れ、豊かな情操、豊かな人間関係を築く第一歩として、私の学級づくりに役立てています。

生徒たちと真剣に向き合う喜び
大津中学校 教論 若林 完樹

 始業式での担任発表の時、生徒の反応が楽しみでもあり不安でもあります。新しいクラス名簿を見ながら1年間のイメージをして迎える新学期。生徒たちも様々な期待や不安を持っているはずです。そんな彼ら39人の中学校生活最後の1年間を担任する責任と喜びを感じながらのスタートです。
 私が4月に生徒に話すことは次の2つです。ひとつは挨拶と返事を明るくさわやかにすることです。朝、教室に入っていく時、「おはようございます」と大きな声で挨拶することから私の1日は始まります。返事についてもこだわっています。挨拶と返事は対人関係の基本だと考えているからです。もうひとつは1年間共に生活をしていく仲間を大切にして欲しいということです。班の中やクラスでの協力や助け合い、そんな小さな優しさをお互いに持てるクラスにしようと思っています。
 私自身の課題は、常に生徒に本気で接し、「君たちと真剣に向き合いたい」という私の思いを感じてもらうことです。嬉しい時は生徒と一緒に心から笑います。叱る時は本気で叱ります。そこに偽りやごまかしは許されません。
 このような姿勢で日々、私は学級づくりに励んでいます。その中で一人一人の生徒が、人と真剣に接することの意味、勉強や行事に本気で取り組む大切さを学び、そこに生まれる喜びや感動を味わえるクラスにしたいと思っています。



▲TOPに戻る

 

研究員会


 

 研究員会の研究報告 

 

「学校図書館活用」 研究員会
学校図書館活用研究員会は、平成15年度より発令された司書教論と、新しい学校図書館の活用について資料を提供し、本市の学校図書館の可能性について研究を進めています。1年目は、司書教論研修会において研究員の実践から、小学校の司書教論的役割の在り方、中学校の学校図書館の運営について提案しました。また、各学校の司書教論・学校図書館担当者に情報提供をすることを目的に、保護者による「図書館ボランティア」の活動、プレゼンテーションソフトを活用した「ブックトーク」の提案をしました。さらに、教育課程全体の運営に関わる司書教論の立場から、学校図書館を活用した研究授業も行いました。この他、資料収集として国や県の全国学校図書館協議会の研修に参加し、積極的に先進的な学校図書館の運営方法について研究しています。
2年目の研究は、研究成果及び収集した資料を各学校に提供し、学校図書館及び司書教論に活用して頂くことと、司書教論研修会及び学校図書館研究会の研究とも歩調を合わせ、様々な実践的資料の作成にも協力することを計画しています。

 

 研究員の紹介 
 

平成15・16年度 伊部えりさ(大楠中)  百瀬美佐子(野比東小)   柴田治美(小原台小)
平成15年度 千葉秀子(神明中)
平成16年度 関場孝夫(長井中)

 

 平成16年度の「研究テーマ」の紹介 

本年度の教育研究所の研究調査は、昨年度より継続して研究を進めている7研究員会と、今年度新たに発足する7研究員会の14テーマ、総勢61人の研究員で研究を進めます。

新規研究員会 (平成16・17年で研究)

(1)教育史資料研究員会:「教科外研究会の変還史のとりまとめ」
(2)よこすかの子ども研究員会:「市内の児童生徒の基礎学力の分析及び指導法の研究」
(3)情報教育研究員会:「ITを活用した指導法の提案」
(4)総合的な学習研究員会:「校種間を関連づけた指導 内容の研究・実践」
(5)人権同和研究員会:「児童生徒に対する人権同和教育の啓発研究」
(6)小学校英語活動研究員会:「中学校の学習内容に発展する小学校の英語活動」
(7)横須賀の教育研究員会:「横須賀市において展開しうる教育制度・指導方法についての調査」

継続の研究員会(平成16年度で終了)

(8)障害児教育研究員会
(9)学校図書館活用研究員会
(10)環境教育研究員会
(11)生徒指導研究員会
(12)不登校問題研究員会
(13)スクールマネジメント研究員会
(14)学校経営研究員会

各研究員会の研究成果は、「研究紀要」にまとめられています。現在は、「イントラネット」上の「研究紀要」から全文を閲覧・印刷出来るようにしてあります。

○平成16年度の研究員総会は、4月28日(水)午後3時30分より研究所で行われました。

▲TOPに戻る

 

研修セクション 



5月の研修講座案内
 

 基本研修 

◆初任者研修 時刻13:30~17:00

18日(火) 小学校における学級経営のあり方 浦郷小学校教論 宮沢 久子先生 第1研修室
中学校における学級経営のあり方 追浜中学校教論 米持 正伸先生


◆2年次教職経験者研修 時刻15:30~17:00

11日(火) オリエンテーション 教育研究所長 第1研修室
グループ協議 指導主事

 

◆6年次教職経験者研修 時刻15:30~17:00

7日(金) オリエンテーション 教育研究所長 第2研修室
講義「子どもを活かすための授業方法の改善」 横浜国立大学教授 髙木 勝先生

 

 

 専門研修 
 

◆管理職研修 開始時刻15:30~  会場:第1研修室


6日(木) 学校を創る
~新しい学校づくりの視点と課題~
横浜国立大学教授 髙木 展郎先生

25日(火) 教頭の職務 指導主事

 

◆教育課程担当者研修 時刻15:30~17:00​ 

12日(水) 講義「教育課程の編成と展開-総合と教科をつなぐ-」 横浜国立大学助教授 加藤 圭司 第1研修室

 

◆学校図書館司書教諭研修    時刻15:30~17:00​ 

19日(水) 司書教論の役割と意義 神奈川県学校図書館協議会理事 第1研修室

 


 その他の研修 
 

◆教育課題研修 時刻 15:30~17:00

26日(水)  三浦半島の自然を教材に 国立教育政策研究所総括研究官
五島 政一 先生
第2研修室

 

◆理科実験講座
   理科基礎技術講座 開始時刻 15:30~

26日(水) 自然観察会~春の植物~ 植物研究家     八田 羽榮一先生 観音崎公園

 

◆情報教育研修
   実務コース  開始時刻 16:00~ 

7日(金)
18日(火)
ウイルス対策とネットワーク 情報教育研究室
11日(火)
14日(金)
メールとネットワーク 情報教育研究室
21日(金)
25日(火)
ワープロソフト(ワード) 情報教育研究室
28日(金) 表計算 情報教育研究室

  

 管理職コース 開始時刻 9:30~ 

19日(水)
21日(金)
教頭対象 情報教育研究室

 

◆教育相談研修  開始時刻 15:30

12日(水)

「不登校への支援~今後の方向性を探る~」


パネルディスカッション   
*不登校対策(1)

<コーディネーター>
教育相談担当指導主事

<パネリスト>
スクールカウンセラー
林幹夫先生

鴨居中学校養護教論
下井田いずみ先生

汐入小学校教論(相談学級担当)
原恵子先生

公郷中学校教論(相談学級担当)
川端久詩先生 
総合福祉会館

※ 参加申し込みはイントラネットで受付けます

 今年度も多くの研修を計画させていただきました。各先生方のご参加をお待ちしております。
                                  (研修セクション:木屋・椿本・北村・北原)

(指導主事:木屋・北村・椿本・望月 TEL834-9308)

▲TOPに戻る

 

教育情報セクション 


 

■今年度の教育情報セクション
 今年度も高木、一栁、坂庭の3人で情報教育関係、図書・資料関係、理科関係の業務を扱います。よろしくお願いいたします。
 今年度の教育情報セクションは、昨年度の反省にたって以下の業務を実施していく予定です。
◎教育情報の収集・提供
 理科教材のあっ旋・配布や図書資料・ビデオ教材の貸し出しに関する事業を行います。
 また、理科研修講座、研究所が開設、運営しているホームページやネットワークの活用も情報提供の一部と考え、充実を図っていきます。
◎教育の情報化の推進
 教職員の情報教育に関するリテラシーの向上をめざし、各種の研修や横須賀市教育情報センターの運営を行います。
◎研究調査
 研究員会を通して、本市の教育の課題や方向性についての研究を行い、学校へ還元します。
 今年度、「教育史資料」 「よこすかの子ども」 「情報教育」 「総合的な学習」 「人権同和」 「小学校英語活動」 「横須賀の教育」の7つの研究員会が新たに発足しました。学校にアンケート等の協力要請があるかも知れませんが、よろしくお願いいたします。
◎その他の関連事業
 以上3つの事業に関連して「スクールデジタルコンテスト」などの新しい事業や、より使いやすいIT環境づくりを推進していく予定です。
 また、グループウェア「ネクスト」やwebメールなどの利用を促進し、ネットワークの有効活用を図っていきます。
 学校ITアドバイザー事業は今年度が最終年度になりますが、「授業サポート」と「学校でのITの効果的な利用」については、引き続き推進を図っていきます。各学校でのより積極的な学校ITアドバイザーの活用を期待いたします。

■今年度前期学校ITアドバイザーについて
 今年度前期の学校ITアドバイザーは、小・中・ろう・養護学校の全76校について、1人が5校担当する形をとります。1日6時間の勤務を基本とし、半年間で1校を訪問するのは18回程度となります。これまで以上に計画的な活用をお願いいたします。

■スクールネットで情報発信をお願いします
 昨年度からスクールネット(学校ホームページ)が各学校で更新が可能になっています。その中には、学校からのパスワードを交付された方だけが閲覧可能な「限定サイト」も作製が可能です。
 地域、社会に開かれた学校が求められるようになる中、学校ホームページも情報発信の一つの手段として活用が期待されています。
 さらに、6月からは個人の携帯電話から見ることができるスクールページサイトの運用を開始します。この更新は比較的簡単な操作で可能になっています。
 これらを学校のホームページは、常に新しい情報が公開されることで、初めて生きたものになります。日々お忙しい中とは思いますが、こうした新しいしくみをどのように活用していくのかを検討していただくとともに、個人情報の保護や著作権等に関しても是非、再確認して下さるようお願いいたします。

■理科関係教材配布
 すでにお知らせしましたが、サツマイモの苗とカイコの卵の配布が5月13日(木)、14日(金)となっています。
 申し込まれた学校は忘れずに受領をお願いいたします。これらの他、水中の微生物、水草類なども随時配布可能です。研究所までご連絡下さい。

(教育情報セクション:高木 TEL837-1338・一栁 TEL 836-2418・坂庭 TEL 836-6104 )

▲TOPに戻る

 

こくばん



◆平成15年度 学校教育賞(1)

 平成15年度は、学校教育賞への応募が10点にものぼり、その内容は論文という形式には至らないものも見うけられましたが、どれも日頃の実践を中心とした素晴らしい内容でした。そのため、従来は「学校教育賞」「努力賞」の2つの賞を表彰していましたが、今回はそれらの賞に「奨励賞」を加えて選出しました。この5月号と6月号の2回にわたり、研究の一端を掲載いたします。これらの実践が、何らかの形で参考になればと思います。

 

学校教育賞
該当作品がありませんでした。

 

努力賞


『学童期における子どもたちの人間関係形成契機としての学校の役割』

大津小学校 教論 原口 尚延

 前年度までの先行研究を基に、子どもたちの人間関係の有り様を、心理学と社会学の面から探り、現在の子どもたちが友だちとどのような「関わり」を持ち、どのような「学び」を行っているかということを、フィールドワーク研究の視点を取り入れ、具体的な子どもの見とりの記録を中心に研究を進めました。
 「子ども一人一人の見とりが学校における子どもの支援の原点である」という考えが、学校全体で子どもを見とっていこうという機運につながっています。

 


『常葉中学校環境整備への取り組み』

常葉中学校 用務員 二宮 祐子

 計画的な校内の環境整備に努め、いろいろと研究をしながら作業にあたりました。生徒の活動を支える上で必要な用具・備品等を新たに製作するなど、改善の目的を明確にし、もっとも効果的な空間を創出できるよう、様々な工夫を模索しながら行った実践です。職員、生徒、地域からも高く評価されています。 

 


『学校教育の情報化』

池上中学校 教論 栗原 裕(代表)

 整備された環境を最大限に活用し、情報活用能力の育成に効果を上げていると共に、情報教育のカリキュラム作りと実践を一担当者の努力に委ねるのではなく、学校体制で取り組んでいます。各種校務情報のデータベース化とその有効活用事例、さらに定期的なホームページの更新とその質の高さは他校の見本になります。

 


『ロボット競技を通して育む可能性と未来』

横須賀総合高等学校 教論 唐原 克之

 研究者は「科学する心を育みたい」との思いから、ロボット製作分野における多方面との関係を生かして、青少年の科学意識を引き出すべく、普及活動の企画運営を行ってきています。本実践は地域への開放を意識し、ロボット競技を通して、自校の生徒はもとより、児童・生徒たちに物づくりへの挑戦を体験させる活動を長期間にわたって継続し、成果をあげた報告です。

 


『PIC回路の製作』

横須賀総合高等学校 教論 鈴木美朗志

 安価なワンチップマイコン(PIC)を使って、機械実習における電気的分野の実習を自主編成しました。自らの努力により専門性を高め、工夫を凝らしながら普及活動を行っています。これらの成果は自校生徒の興味・関心を育むと共に、広く一般にも公開され、「ものつくり」に重点を置いた取り組みは、県内の工業教育に携わる教育関係者にまで広く及んでいます。

 

 「ハートフルフォーラム」 開催のお知らせ 

平成16年6月12日(土) 9:00~教育研究所第1研修室において「不登校にどうむきあうか」をテーマに開催します。


▲TOPに戻る

更新日:2023年11月02日 14:46:11