月報 2001年度 10月号
平成13年(2001年)10月1日
編集発行・横須賀市教育研究所/代表・小山 雄二
E-mail: kenkyu@edu.city.yokosuka.kanagawa.jp
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巻頭
人ごとでない 薬物の怖さ
~平成13年度 第1回巡回講演会
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◆シンナーにはまり、依存を繰り返し、ダンプカーにはねられ死んでしまった少年の話。覚醒剤などの乱用で、脳の8%が溶け、70歳代の人と同じぐらいの脳になってしまった中学3年の少女の話。覚醒剤の乱用で、顔から虫がはい出す幻覚に襲われ、顔をカミソリで傷つけた少女の話など実例をあげて話した後、生徒には、こう語りかける。「君たちが大人になるまで、二人に一人は覚醒剤やシンナーに誘われる。誘うのは暴力団や外国人ではなく、友達ですよ。」「シンナーをやめられないのは、依存症と言う病気だからだ。病気は、愛や罰では救えない。」と・・・。
◆生徒からは、「毎年、1年間に何人もの多くの人達が、シンナー、マリファナなどのドラッグを多く服用したために、死んでしまう人がいることを聞いて少し驚いた。友達や親友からの、誘いの断り方など、いろいろなことを知った。自分も気をつけようと思った。あと、暴走族とかに絶対に入らない。」(男子生徒)「一番心に残ったのは、好きな人の薬物使用をやめさせるめために、シンナーを自分で飲んでしまった女の子の話です。聞いていて、とても可哀想で悲しくなりました。そんなふうにならないためにも、シンナーなどの薬物は絶対にやってはいけないと、改めて思いました。」(女子生徒)などの感想があった。
◆人から薬物を最初に誘われたとき、断れるかどうかが最大のポイントであろう。断れなかったら、「道の広い方へ」「明るい方へ」「人のいる方へ」逃げなさいとアドバイスがあった。これから、各学校でも薬物防止をテーマにした授業を積極的に行い、自分を大切にし、誘惑に負けない心を育てて欲しいと思う。
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◆去る7月4日(水)今年度第1回目の講演会が実施された。平成9年度からでは21回目になる。その目的は、21世紀をになう子どもたちを育てるため、市民に開かれた教育を目標に各地域に出向いてその地域特性に応じたテーマを選定して講演会を開催し、質疑を通じて意見の交流を図ることにある。具体的には、(1)地域教育力の再生、(2)学校、家庭、地域の連帯強化、(3)人に優しい町づくりをになう心豊かな子どもの育成の3つを重点に掲げ、平成9年度から設定された事業である。
◆最近の青少年の問題の一つとして、薬物汚染が心配されている。新聞などのマスコミからも、薬物乱用事件が度々取り上げられているが、特に中・高校生の乱用者が増加していると言われている。そこで、「薬物(ドラッグ)とは何か。」「本当に自分の身近に薬物は迫っているのか。」「なぜ、思春期の子どもたちは、薬物に手を出してしまうのか。」「誘われたとき、どのようにして自分を守るのか。」「薬物は体にどのような影響を及ぼすのか。」「乱用した者の行く末はどうなるのか。」等々の問題を生徒や保護者、市民と共に考えてみようと、衣笠中学校を会場校として、城北小・衣笠小にも協力を頂き、「思春期の子どもたちは、今」~子どもたちはに迫る、薬物の魔の手~テーマで講演会が計画された。
◆講師には、横浜市立戸塚高校定時制教諭の水谷修氏をお招きした。水谷氏は、学校で生活指導を担当し、高校生の非行・薬物汚染問題に関わり、生徒の更生と、薬物汚染の拡大の予防のための活動を精神的に行っている。講演では、全校生徒578名と保護者・教職員など66名が聞いた。 |
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(小山 雄二) |
特集
カットは岩戸中学校 古谷尚先生の作品です。 |
「言 葉」 |
子どもから学んだこと |
大矢部小学校 教諭 菊間 晴子 |
大津小学校 教諭 高橋 依子 |
自分の思いを伝える手段として,人はいろいろな方法を使います。その中でも,日常よく使われている「言葉」について,子どもと接していくうちに気づかされたことがあります。 しかし,気づくことができた私は,これから言葉にずっしりとおもりをつけて,人にたくさんのことを伝えていきたいと思っています。
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Nさんと初めて会った時,ニコニコしているのがなんとなく他の子どもと様子が違うことに気になりました。遅刻や欠席が目立つようになり,家庭への連絡も密に取りましたが,なかなか良い方向へは進まず困っていました。
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バッタさん,寂しい? |
一人ひとりが 光るために |
高坂小学校 教諭 岸川 亜祐子 |
田戸小学校 教諭 上赤 裕美 |
昨年,2年生を担当していた時のことです。ある日,子どもたちが30匹ほどのバッタを捕まえ,教室で飼うことになりました。子どもたちは毎日バッタを腕に乗せたり,教室で放したり,と大変かわいがっていました。
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私が学級づくりの中で心がけている一つは,一人ひとりの良いところや違うところを認め合うということです。字が丁寧だとか席にきちんと着けているとか,些細な事でも今までより光っているところがあれば,その気持ちを声に出して伝えてきました。
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相談室
<子供とともに>
-社会で生きる力を育ませるためには- 教育相談室 |
◆5月半ばに,以前関わっていた不登校の小学生の母親から中学生になった娘の現在の様子を伝えるお手紙をいただきました。部活動にも入部し,学習にも取り組んで元気に学校生活を過ごしている内容の文章と共に,入学式に校門で撮影した彼女の胸を張った写真が同封されていました。
◆8月初旬には,これも以前関わっていた不登校の高校生の母親から3年ぶりにお電話をいただきました。進路変更をして通信制の高校に通った彼は通信制高校を3年で修了し,通信制の私立有名大学に進学して充実した学生生活を過ごしているという話を母親から聞き,彼の成長を感じることができました。
◆以上のように不登校で関わった子どものその後成長を目の当たりにする機会を何度か得る中で,保護者の喜びの気持ちを知ると同時に,保護者の社会人=大人としてのマナーを感じる出来事でもありました。
◆社会人としてのマナーということを考えた時に,数年前に招待された中学校の学年同窓会の幹事から聞かされた言葉を思い出しました。
◆それは「同窓会の返信用はがきに,『○○(幹事名)行』となったまま送られてきたものが多かった。20歳代半ばになって社会人として働いているのにマナーを知らないのにはがっかりしました。先生が国語の時間にこういったところまで教えてくれれば,社会に出た時に恥をかかなくてすんだのではないでしょうか?」というものでした。
◆たしかに私は国語の授業の時に,ここまでは教えた記憶がなかったので,「そうだね。」としか答えられませんでした。と同時に,自分の国語の授業について振り返り,社会人として生きていく上で必要なマナーを中学生に教えてあげられる工夫をしなかったと反省させられました。
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◆社会に出た時に生きていくうえで,必要なことは何でしょうか。物事を理解し,正しく遂行していくために「知識」も必要だと思います。また,一人で全てを行う能力を持っている人以外は,他者との関係が生じるわけですから,社会性や対人関係能力=コミュニケーション能力も必要となってきます。そういったものは,子どもの時からの経験の積み重ねによって子どもの身についていくのではないでしょうか。
◆不登校の子どもに限らず,現在,子どもの社会性や対人関係づくりにおける経験不足が多くの方に指摘されています。学校は教科の学習を通して「知識」の基礎・基本を学ぶ場であると同時に,同年代・同世代との集団生活を通して社会性を学ぶ場でもあります。以前は家庭や地域で育まれていた子どもの社会性が,社会の状況の変化と共に育まれなくなってきています。しかし,前述した「子どもの時からの経験の場」は,学校・家庭・地域なのです。
◆社会で生活していくうえで大切な「知識」や「社会性」の獲得を,学校において行っていく必要があります。その時に子どものモデルとなるのが,社会人としてのマナーに身につけた大人=教師だと思います。「知識」の基礎・基本となる授業の工夫が「理解できる授業」となります。社会性や対人関係についてはどういった工夫があるでしょうか。
◆國分康孝氏は「学校で教師が自己を語ることをためらってはいけない。教師は子どものメンター(師匠)でなければならない。模倣の対象を自分の中に持っている人は倒れない。教師が自己を語る(自分の状態を自己受容し,自己肯定感がある状態で語る)ことによって,子どもが変容する。」 と語っています。
◆最初に述べた不登校経験者の中学生と大学生は,それぞれ小学校時代,高校時代に関わってもらった人から社会性や対人関係のスキルを学び,新たな一歩を踏み出す時に変容することができたのではないでしょうか。社会で生きる力を身につける場としての学校教育の重要性を再認識することができました。
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(教育相談室直通電話…34-9308・北村耕一)
図書室・資料室
図書の紹介
-新しい教育課程・総合的な学習-
・総合的学習で育てる知識・能力・態度 荒木 紀幸 明治図書
・総合的学習の評価 寺西 和子 明治図書
・総合的学習のカリキュラム開発と評価 天野 正輝 晃洋書房
・教育評価読本 井上 正明 明治図書
・資学習評価基本ハンドブック 辰野 千壽 図書文化
・教育評価重要用語300の基礎知識 森 敏昭 明治図書
・事例に学ぶ特色ある学校づくりと学習評価・学校評価 村越 正則 ぎょうせい
・授業で“学び方技能”をどう育てるか 谷 和樹 明治図書
・小学校通知表作成の手引き 小島 宏 明治図書
・新時代の通知表の文例集 低・中・高学年 中嶋 公喜 明治図書
-図書指導-
・子どもと本をつなぐ 高橋 元夫 岩波書店
・学習指導と学校図書館 渡辺 重夫 学文社
・いま、子どもと本を楽しもう 片岡 徳雄 北大路書房
(図書・資料研究室直通電話…TEL 36-2418 一栁直行)
理科・環境教育
環境教育に関連する様々な事業が,国や県,市レベルで展開されていることをご存じですか。緑化推進事業,愛鳥優良校指定事業,子ども葉っぱ判定士事業,環境美化教育優良校指定事業,環境家計簿への取り組みなど,それは内容が多彩です。また,子どもエコクラブの取り組みも,全国的に広がってきています。こうした事業を学校の特色づくりに活用してみるのはいかがでしょうか。子どもたちの環境意識を高める引き金としたり,また子どもたちの活動の延長上に設定したりと,環境に関連する様々な事業を位置づけることで,子どもたちの体験活動を核とした学びが充実し,その活動が学校の特色となる可能性も十分にあると考えています。教師側の授業構想を考える際に,それら事業を活用する方向も考えてみてください。
児童・生徒研究集録作成にあたって
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創意工夫展について
夏休み等に子どもたちが創意工夫した作品が展示される「青少年創意くふう展」が,今年も文化会館を会場に10月13・14日の両日開催されます。子どもたちの創作意欲高揚のためにも,ぜひ見学することを進めてあげてください。
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(理科教育研究室直通電話…TEL 36-6104 小田部英仁)
情報教育
▼新規アドバイザー事業▼ 平成11年10月から始まった学校インターネットアドバイザー事業も2年を経過しました。
▽小学校では▽ 小学校は各校担当者を決め,毎日常駐をします。 職員室にいつでもいることにより,PCの操作で疑問に思ったことをすぐ解決できるようにします。 コンピュータを初めてさわる方から,現在利用している方までを対象に,課題別集合研修を中心に行い,個々の疑問・質問にも対応し,多くの方がコンピュータを利用できるようになることを目指していきます。
▽中学校,ろう・養護学校では▽ 中学校,ろう・養護学校については,1年間の常駐を終了し,当初の「PCを操作できる」という目的をある程度達成できたと判断し,アドバイザー事業の内容を変えます。 Windowsの応用的な利用方法,LANの効果的な利用方法(コンピュータ室,ファイルサーバの活用等),新しく入るネットワークの利用方法などを中心にアドバイスしていきます。
▽高校では▽ 横須賀高校,工業高校については,常駐期間がまだ半年間ですから,今までと同様担当者を決め,常駐する形で行います。 |
▼ビデオの編集を▼ 運動会や体育祭,文化祭などでビデオを撮る機会が多いと思います。
ビデオ編集機器
▼「運用規定」策定中▼ 地域イントラネット基盤整備事業により,広域(三浦市,葉山町)のイントラネットを構築します。このイントラネットの運用上の課題を解決していくために「三浦半島地区教育ネットワーク協議会」を組織し,「三浦半島地区教育ネットワーク運用規定」(以下運用規定)を策定しています。
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情報教育研究室…TEL 37-1338
小谷 孝夫(kotani@yknet.ed.jp)
研修案内
十月の研修案内 |
■ 基本研修 ● 初任者研修
■ 教育課程開発講座(15:00~・教育研究所)
■ 管理職研修講座(15:00~・教育研究所)
■ 学校教育相談研修講座(いずれの講座も,15:00~・教育研究所) ■ 学校教育相談研修講座 ● 経験者コース(いずれの講座も,15:00~・教育研究所) ● 管理職(教頭)コース ■ 理科実験講座 ● 理科基礎技術講座
■ 研究所学習会 ● 植物観察会 20日(土) 14:00~ 塚山公園
■ (第三回)巡回講演会 20日(土) 13:30~ 大楠中学校体育館 「現代の子ども気質と社会現象」 |
言葉抄 | ||
16年次研修 |
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〇午前中の話では,自分自身の内面性を見つめることが生徒理解のきっかけになれば……と思いながら拝聴させてもらいました。「登校拒否」という言葉を久しぶりに聞いたように思います。 |
(基本研修担当 中山・木屋)
こくばん
学校・学級経営相談
卒啄同時によせて
(学校学級経営相談室 小田切 武夫) |
研究所10月の予定
◆ 教育課程開発講座 |
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日時 | 10月17日(水)15:00~ |
場所 | 第1研修室 |
内容 | 「小学校・中学校、地域との連携」 学区の小学校と中学校、そして近隣の高等学校が協力し、地域の活力を借りた学校づくりの実践を研修します。 |
講師 | 宇佐美 博子 先生 |
◆ 現代教育課題講座 |
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日時 | 10月23日(火)15:00~ |
場所 | 第1研修室 |
内容 | 「子どもの学びを支援するコンピュータの授業」コンピュータを活用し、 児童の興味関心を柱に総合的な学習の取り組みを行っている淵野辺小学校の実践を研修します。 |
講師 |
横須賀警察署生活安全課スタッフ |
更新日:2023年10月31日 20:47:48