月報 2002年度 11月号
平成14年(2002年)11月1日
編集発行・横須賀市教育研究所/代表・小山 雄二
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巻頭
学校教育賞を実践に生かす
~学校での教育実践を共有し, 日々の教育活動に生かそう~
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◆ 学校教育賞は,横須賀市立学校の教職員を対象に,日頃の教育実践の成果を論文等でまとめ,学校長の推薦により応募されたものである。
◆ 平成13年度は,横須賀市立明浜小学校の荒川正敏教諭の研究「特殊学級における個別教育」~太田ステージの実践を通して~が,学校教育賞を受賞した。また,横須賀市立衣笠小学校の田野口則子教諭の「自分の可能性をひらく」~子どもと共に取り組む総合的な学習の時間~が,学校教育賞努力賞を受賞した。
◆ 荒川教諭の研究は,平成10年9月から平成13年12月までの約3年間,自閉的傾向のある児童における特殊教育において,客観的・科学的な視点で子どもを評価し,それに基づいて個別教育を積み重ねていく「太田ステージ」を通した実践教育である。子どもの発達の道筋を明確に把握し,ステージI,IIでの指導内容と実践経過,そして,その際の教育支援の在り方を明らかにした。更に子ども一人一人の障害に応じた指導の重要性を再確認し,これから不可欠とされる個別教育の在り方を提示したものである。「太田ステージ」は簡単な評価法で子ども達の発達段階〔(ステージI・・・感覚運動期,物に名前があることに気づいていない段階)(ステージII・・・感覚運動期からシンボル表象期への移行期,物に名前があることに気づき始める段階)(ステージIII・・・シンボル表象期,物に名前があることにはっきり認識する段階)・・・・・・〕を把握できる。その評価と明確な指導目標に基づいて子ども達に適切な教材教具を提示し,認知学習を進め,学習を通し,子ども達は基礎力を養い,適応力を高め,問題行動を減弱・予防できるとした。
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特に3年間にわたる子どもへの個別教育の成果は大きく,達成感が学習意欲につながる等,その有効性を検証した。
◆ 田野口教諭は,平成9年から平成13年までの約5年間,「総合的な学習の時間」の実践研究に取り組んだ。子どもの課題の立ち上げでは,やりたいことが分からない子どもの立場に立って,イメージマップや話し合い等の工夫をし,「神明・夢・プラン-神明マイスクールを作ろう-」「オンリーワンディクショナリー」「子どもの権利条約」「夢新聞づくり」「衣笠大好きスーパーレスキュー」等の学習をした。子どもたちは,主体的に行動することの意味,実行した充実感,情報を発信し分かってもらえた喜び等を体験し,自らの生きる力として日常生活の中に生かすことの重要性を学んだ。「総合的な学習の時間」は子どもが主体的に生きるためのきっかけの一つになる。また,各教科で獲得した力を「総合的な学習の時間」で駆使してこそ「生きる力」となって育まれていくということを検証することができた。更に,実施にあたってのポイントとして,子どもの実態を的確に捉え,目の前の子どもにどんな力を育てたいのかや学びの方法を明確にすること。カリキュラムを工夫し,人とのかかわりから自分の個性や可能性をひらくこと。評価の視点を子どもと共に育てること等が明らかになった。
◆ これからは,今まで以上に「よくわかるための授業づくり」が求められている。そのためには,多くの教員が日頃の教育実践のもとに,学校教育賞への応募をはじめとして様々な機会を利用し,積極的に発表する等してその成果を共有し合いたい。
(小山 雄二) |
特集
子どもと創る特別活動 |
「宝物となる活動を」
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合唱コンクールの季節!
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望洋小学校 教諭 渡辺 雅子
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衣笠中学校 教諭 濱田 守久
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「お久しぶりです。時々ふと、昔の事を思い出し、『アルバム』を見ています。自分が辛い時にいつも励まされるからです。」春に届いた卒業生の手紙を読むうちに、なつかしさで、私も思わずアルバムを手に取りました。そこには、・・・・・
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多くの中学校と同様に、衣中でも子たちの血が騒ぐ季節が、毎年今の時期に巡ってきます。「体育際」と「合唱コンクール」の季節です。
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教育相談セクション
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研修セクション
十一月の研修案内 |
基 本 研 修
初任者研修 ☆他校種間交流 各初任者が各々指定した市立幼稚園、市立江東学校、地域の小学校又は、中学校に赴く。 5日(火)、12日(火)、19日(火)
☆26日(火) 校外研究授業(小学校) 13:30~田戸小学校、城北小学校、久里浜小学校、神明小学校の各会場で行う。
新採用養護教諭研修 ☆19日(火) 応急手当等安全指導講習会 県立体育センター
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その他の研修
教育課題研修講座 ☆13日(水) 15:30~ 教育研究所 ・講義「学校の安全管理~その時の対応は~」 横須賀警察署次長(生活安全担当) 中村 松男 警視
☆26日(火) 15:30~ 教育研究所 ・講義「学校における情報化のすすめ」 文化庁著作権課 岡本 薫 課長 教育相談研修講座
☆27日(水) 15:30~ 教育研究所 ・事例研究「気になる子どもに関すること-保健室で関わった事例から-」 発表者 長浦小学校養護 教諭 武藤 美保子先生
☆13日(水) 15:30~ 教育研究所 ・「総合的な学習とつながる理科」 学校教育課 小田部 英仁 指導主事
情報教育研修講座 ☆ホームページ作成コース 5日(火) 授業活用コース 15:30~ 教育研究所 7(木)・12日(火)・14(木)・20(水)・22日(金)
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◎ 社会体験研修講座を終えて
11年次経験の先生方が、夏季休業中にそれぞれ事業所で社会体験研修を実施いたしました。以下、「研修報告」よりの抜粋です。
○ 中学校の現場でも注意していくべきこと、挨拶、言葉かけはもちろん、私たち教師は多くの可能性をもっている子どもたちの芽をつぶしてはいけない。「できない!ダメ!」ではなく、信頼して「やってみようとする子どもを見守り、失敗したら言葉をかけていく」という姿勢も大切なのではないか。(保育園体験者)
○ 作業の「ムダ・ムリ・ムラ」をいかに省くかで、それが人件費の削減とつながり、商品の価格ダウンにつながる。品出しも片手ずつ行わず、両手で持てるだけのものを持つ。意味なく売り場を歩くようなこともしない。涙ぐましいほどの企業努力が低価格の背景にあることを知った。(大型店舗売場体験者)
○ 日頃、子どもたちや保護者の方々、学校出入りの業者さんなどと接する自分を省みて、自分の対応が相手にどんな印象を与えているのだろうと思うと、今後直していかなければならない点がいくつもあるように思えた。(大型店舗売場体験者)
○ 女性だから男性だからという性差はなく「自分のするべき仕事」「してあげると相手が助かる仕事」を一人一人が的確に判断して働いていた。各々がそこに属する一個人としてどれだけ成熟した行動をとれるかが大切だということ。(事務職体験者) |
(研修セクション TEL34-9308 : 中山・木屋・北村)
教育情報セクション
午後からの研修が終わり参加頂いた先生方を見送るとまだ5時過ぎなのもう夜景です。涼しい秋の夜長、じっくり考え・研修するにはよい時季ではないでしょうか。研究所図書室にも「評価」を中心に新しい図書が入りました。 |
○ 校内で剣崎小児童と意見交換
○ メールは宇宙へ
○ 本を意識する
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た、学校図書館研究会でも入選作品と書評を掲載した「読書感想文集」を毎年作成し、3月に学校へ配布していますので「読書週間」の取り組みの中で活用して頂き、本に親しむための環境づくりを進めて頂きたいと思います。。
○ 理科室の薬品管理を ○ 便利に活用
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(教育情報セクション
小谷 直通TEL37-1338・坂庭 直通TEL36-6104・一栁 直通TEL36-2418)
こくばん
研究員会だより 情報教育研究委員会
「授業におけるコンピュータ活用」
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教育情報セクションのページで紹介しましたが、9月25日に科学未来館を中心に国際宇宙ステーションISSと全国のいくつかの学校を結んだ宇宙授業が行われ、池上小学校もコンピュータを使ってリアルタイムな参加をすることができました。
今回の体験は本当に貴重で得難いものであり、参加した児童は大変熱心に取り組んでいました。
しかし、空を飛ぶISSを実際に観た児童は少なかったようです。ゲーム世代の子どもたちが、バーチャルな体験に偏る心配は、IT化が進む教育の中でも問題にされることがあります。 地上400km上空を、時速28000kmで明るく輝いて飛ぶISSを自分の目で観て、それに人間が今乗っているのだという想像と感動を持てるような教育を目指していくことが、これからは求められているように思います。
更新日:2023年10月31日 21:16:36