月報 2003年度 10月号
平成15年(2003年)10月1日
編集発行・横須賀市教育研究所/代表・五ノ井文男
〒239-0831 横須賀市久里浜6-14-3
TEL(046)836-2443(代) FAX(046)836-2445
巻頭 | 特集 | 相談セクション | 研修セクション | 情報セクション | こくばん |
「研究所月報バックナンバー」へ戻る |
巻頭
これからの小・中学校の連携
◆平成13年12月にインターネットの検索で「小中の連携」を調べたところ、資料として存在したものの数が二桁だったことを記憶しています。その後、平成14年3月に同様に検索したところ、資料数は急増していました。わずか3ヶ月の間に、何故、脚光を浴びたのかなと思ったものです。
|
◆従来「連携」の名の元に行っていたのは、「交換」や「参観」や「交流」だったのではないでしょうか。小・中学校の教師、保護者、地域の人々、関係諸機関の人々と「目的」=「子どもの育成」について時間をかけて深く論議をし、協力して目的達成のためのプロジェクトを立ち上げ、計画的に実施した「連携」がどれ程あったでしょうか。
(指導主事:北村 耕一) |
特集
■■ 保健室登校の子どもたち ■■ |
|
笑顔で迎えてみたけれど 鴨居小学校 養護教諭 大槻 智美
「先生ごめんね。保健室も学校なんだよ。」そう言って、Aさんの保健室登校は終わりました。Aさんは、友人関係のトラブルから教室に入れなくなり、保健室に登校するようになりました。保健室にいても、来室する子どもたちの目や、様子を見に来るクラスの子どもたちとの関係に、心が休まることがなかったそうです。私も十分な対応ができませんでした。Aさんが再び学校に来なくなってから、保健室に小さな部屋ができました。Aさんが使うことはありませんでしたが、皆の気持ちは伝わっていました。 |
保健室からの支援 久里浜中学校 養護教諭 堀田 誠子
週5日制になって、保健室利用者が急増したように思えます。週末の過ごし方が社会状況の変化で、繁華街の徘徊や外泊、そのための夜更かし、食習慣の乱れもあって生活のリズムを崩す者も多く、思春期の不安定な心の問題や家庭の問題も複雑にからんでいて、多様な症状の生徒が増加しているように思えてなりません。 |
教育相談セクション
学校評価(学校診断)を通して
|
|
開かれた学校、地域の学校等の新しい学校づくりの視点が校外にも広がりつつあります。学校教育が学校内だけでなく、生徒達が校外で活動したり、地域教育力の活用も様々な形で行われています。また、学校公開や各種の活動の参観、懇談会当に加えて、地域の協議会や学校評議員の制度もスタートしています。 こうなると、学校教育の指針を立てていくには学校(教師)だけの考えでは進められません。活動の評価も教師の目から見ただけでなく、生徒や保護者、地域の方々の声も当然取り入れていかねばなりません。そのための説明や情報提供も求められることになります。ここに学校評価の第一歩として市内某中学校の取り組み(実施はH15年2~3月/生徒:254名・保護者、地域役員・学校評議員79名)を紹介してその意味するところを考えてみたいと思います。
1)学校評価(学校診断)のねらい
学校の教育活動が生徒の実態や保護者、地域の願い、期待に対応しているかどうかについて達成度を点検し、学校教育改善のための資料とします。特に、生徒達には自分達の学校の特色や良い点にも目を向けていくことを願い、また、教師集団にとっては教育活動への意欲を増進できるものとします。
2)評価の項目(設問)
設問は全部で25。設問1~20は「学校目標を知っていますか」に始まり、毎日の通学・授業のこと・評価や通知表・教師との関係や教師の姿勢・学級や生徒会活動・行司や部活動・きまりやマナー・健康、安全・体験活動・災害や緊急時の対応・施設設備の整備・家庭との連携について、〔A・・・大変そう思う B・・・そう思う C・・・あまり思わない D・・・全く思わない〕で評価。
設問21~25「本校の特色、良い点、自慢できること」「校訓」「本校の先生達の良い点」「本校の学区の良い点」「本校への期待や要望、意見など」は自由記入。 |
3)評価内容の概要
◆『毎日、学校へ行くのが楽しい』では、A,Bで1年73%、2年47%、3年45%。上級生の割合が少ないのは、中学校生活が進むにつれて感じとることも多くなり、楽しさ以上に大変なことも増えているからと思われます。
様々な視点から教師の姿を評価していることがうかがえ、特に生徒からは教師の良い点をとらえている気持ちが感じられうれしい限りです。保護者にも、困ったことへの対応や生徒の一人一人への配慮等、日頃の努力点を理解していただいていることが感じとれます。
(教育相談担当 齋藤 紘征)
|
研修セクション
10月に実施される研修
<<基本研修>>
◎初任者研修
☆他校種間交流 10月~11月各会場校 ☆初任者授業研究会10月~11月 各勤務校 ☆28日(火)13:15~17:00 各会場校 ・校外授業研究(初任者代表授業)
◎6年次研修
☆8日(火)15:30~17:00 ヴェルク ・講義 「在日外国人の教育にかかわる問題について」 川崎市ふれあい館 裵 重度 <<教育課題研修>>
10日(金)15:30~17:00 教育研究所 ・環境倫理「水俣から」 横浜国立大学助教授 下城 一 31日(金)15:30~17:00 教育研究所 ・子どもたちの生きる力をはぐくむ 情報教育 森崎小学校教諭 片田 敦子
<<教育相談研修>>
15日(水)15:30~17:00総合福祉会館 ・講義「摂食障害を考える」 国立久里浜病院 医師 鈴木 健二
<<情報教育研修講座>>
<授業活用コース> ☆Win Bird利用 24日(金)16:00~ 教育研究所情報教育研究室 ☆スマイルで文書づくり 31日(金) 16:00~ 教育研究所情報教育研究室 <HP管理コース> ☆小・ろう・養護学校対象 3日(火) 16:00~ 教育研究所情報教育研究室 ☆中・総合高校対象 17日(金)、21日(火) 16:00~ 教育研究所情報教育研究室
|
☆1日(水) 自然観察のノウハウ 15:30~ 教育研究所 ☆29日(水) 環境教育と学校設備 15:30~ 教育研究所
<<管理職研修>>
・講義「マネジメント能力を磨く」 文部科学省研究振興局学術助成課長 岡本 薫
<教頭研修講座> ☆7日(火)15:30~17:00 教育研究所 ・講義「企業経営と学校経営」 日産自動車追浜工場総務部長 寺崎 正彦
<<初任者研修拠点校指導教員研修>>
・現代教育課題に関する研修I ・研究協議 |
充実した研修が揃っています
今年度から、本格的に導入いたしましたオンラインを利用した申し込み手続きも、各校のご協力により円滑に行われているようです。 10月以降も、充実した内容の研修講座を企画しておりますので、奮ってご参加いただきますようご案内いたします。
|
指導主事:木屋・望月・北村・椿本
教育情報セクション
■スクールページの更新をお願いします
現在、各学校のホームページの更新は、研究所経由で行っていますが、今月下旬からの「HP管理コース」で説明後は各学校からも直接更新できるようになります。すべての情報を更新すると大きな仕事になりますが、写真のある行事から更新することを考えて下さい。
■ITアドバイザーを活用した授業を
10月中旬から、後期のアドバイザー事業がはじまります。前期に配置のなかった小学校は2校に1名のアドバイザーが常駐し、その他の学校は巡回派遣となります。情報教育の推進を目的とした事業ですので、計画的・積極的に活用して自信を持って情報教育が実践できるようにして下さい。
■図書館の中に「家」
学校図書館先進校視察を7月29日(火)に実施しました。今年度は、横浜雙葉小学校を訪ね専任の学校図書館司書教諭の役割、そして実践について研修を深めました。 横浜雙葉小学校は、司書教諭と学校司書を配置した児童数500名の私立小学校であり、施設について公立校と単純に比較することはできません。しかし、学校図書館の位置づけについては参加者それぞれが考える部分がありました。 また、貴重な予算は図書の購入に充て、図書館の管理は手作りが中心となっている部分にも憧れる点がいくつもありました。その一つは、図書館の中にある「小さな家」で、内部は読書スペースになっています。左右の壁は既製の書架で作ってあり、壁と書架の機能を同時に果たしていました。 |
この他にも掲示板を透明のアクリル板で作成して、図書館に漂いがちな暗いイメージを明るく変える。小説の分類は「出版社ごとの分類」にするなど、一見すると図書館とはかけ離れたものを感じますが、すべては楽しく読書をするための工夫であり、一つ一つ丁寧な管理がされていました。
■不要薬品・不要液浸標本回収に ご協力ありがとうございました
夏季休業中の3日間で理科の不要薬品と不要ホルマリン標本の回収を行いました。平成13年度の調査に基づいて行われましたので、当日の回収希望数量が申請数と合わない学校もありました。回収しきれなかった試薬がある学校につきましては、次回の調査まで安全な管理をお願いします。
■児童・生徒研究集録についてのお願い
先に校長先生宛に依頼書、原稿用紙等を送らせていただきましたが、今年度も「子どもたち自身による学習の成果」をまとめた冊子を作成いたします。11月7日までに原稿の提出をお願いします。夏休みの自由研究に限らず、教科の時間や総合的な学習の時間などに取り組んだものでも結構ですし、研究分野も問いません。 |
指導主事
高木 TEL:837-1338
一栁 TEL:836-2418
坂庭 TEL:836-6104
こくばん
研究員会だより | ||
児童生徒指導研究員会 『小中学校における児童生徒指導の連携のあり方』 |
||
教育研究所「児童生徒指導」研究員会は、本年度より2年計画で「小中学校における児童生徒指導の連携のあり方」をテーマに、支援システムの構築を目指して活動しています。 中学生になって表出するいじめや不登校、非行といった問題行動の多くは小学校時代にその背景を持ちます。それ故、小中が一体となった指導体制の確立は、児童生徒理解や予防的な指導、問題行動が発生した場合の対応等に於いて、大きな効果が期待できます。現時点でも年度末に中学校へ入学する児童を対象とした「指導の引き継ぎ・連絡」程度の連携は図られてはいますが、今後はさらに一歩踏み込んで、「義務教育の9年間、その子を知る先生方が一人でも多く、何の気兼ねもなく、その子の成長にかかわり、みとって行けるような指導体制を築いていくべきではないか」と考えています。 初年度となる今年は、本市における小中連携による取り組みの実態把握を中心にアンケート形式で調査をして行きます。調査対象、主な調査項目は以下の通りです。 |
新学習指導要領の完全実施に伴い、放課後や学期末の時間確保が非常に難しくなってきています。しかしながら、「個」をはぐくむ教育を第一に考えるのであれば、「小中連携」は最優先で取り組むべき課題だと思います。 研究はまだ始まったばかりですが、現状を踏まえ、実りのあるご報告ができればと考えています。ご協力をよろしくお願いします。
青木 慶子 (衣笠小学校) |
『研修というものは、すべて何をするか決められているのが普通なのに・・地図を持たされ2時間・・必ず一人で・・自分を見つめて・・』
「何をしていいか戸惑う自分がいました」「一人で自分を見つめて発見することがいっぱいありました」「日々一人でいる時間を作れない、求めないでいた自分に気づきました」「一人でいることの良さと寂しさを知りました」「たかが2時間なのに人を恋しく思い、誰かと話をしたいと思いました。」「自分はいつも周囲の人に支えられているとわかりました」「はじめての経験でした」 8月に実施した初任者宿泊研修のある研修の初任者の感想です。研修を企画したねらい通りの感じ方をしてくれています。なかなか一人の時間が取れない毎日だからこそ、一人でいる時間が尊く、そこに何らかの発見や、次のステップが生まれてくることがあるのだと思います。
休日も時間が取れない現実があると思いますが、さわやかな秋を一人で感じてみてはどうでしょうか。
更新日:2023年10月31日 23:46:29