月報 2003年度 9月号
平成15年(2003年)9月1日
編集発行・横須賀市教育研究所/代表・五ノ井文男
〒239-0831 横須賀市久里浜6-14-3
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巻頭
教師の人間的魅力を磨く
◆最近、たいへん興味深く読んだ本がありました。紙面を借りてその内容の一端を紹介したいと思います。本のタイトルは「教師のためのソーシャル・スキル」~子どもとの人間関係を深める技術~(河村茂雄著)です。
(2)親近・受容性:教師に対する親近感や自分を受け入れてくれるという被受容感など、教師の内面的な魅力にもとづく。
(3)熟練性:教師の専門性による教え方のうまさ、熱心さなど、教師の教育技術の高さと熱意にもとづく
(4)明朗性:教師の性格上の明るさ、かかわることで楽しい気分になることにもとづく。
(5)正当性:「教師」「先生」という役割や社会的な地位にもとづく。
(6)罰・強制性:教師の指示に従わないと罰せられたり、成績に響くので、それを避けるために教師の指導に従うことにもとづく。
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高校生の場合は、ほぼ中学生と同じだそうです。
◆紙面の都合で内容の一端しか記述することはできませんでしたが、「教師は、子どもたち個々の実態をよく理解し、人間的魅力を強く感じさせることができるかがとても重要だ」ということです。
◆児童文学作家の国分一太郎さんが紹介した日本の古いことわざに“おれに似ろ、おれに似るな、と子を思い”というのがあります。国分さんは、「どんな時代であっても、親や教師は、“私に似ろ”という信念を持った生き方が大切で、この信念がなかったら、親や教師の資格はない」とまで言い切っています。と同時に、「しかし、欠点のない親や教師があるわけではない。そこで親や教師は自分の欠点を“私に似るな”と、祈る心で見すえよ。そして子どもに接しよ」とすすめています。親や教師は、「自分の足りない所をよく自覚して、似られては困る欠点を減らし、似て欲しい所を多く身に付けるよう努力するのが、子どもを思う真の情愛であろう。」と、このことわざは言っていると思われます。
◆子どもを豊かに成長させるには、親も教師も成長する必要があります。豊かな人間的な魅力・無意識的な考えや行動は、子どもの生活へ反映し、大きな影響を及ぼします。
(所長 五ノ井 文男) |
特集
■■ 読書について考える ■■ |
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“読み聞かせ”から出発を 桜小学校 教諭 吉成 美代子
子どもたちの全人的な成長を目指す学校教育において、心の内面を開放し想像力と創造性を培ってくれる読書活動を、その中の大きな柱に据えることはとても大切なことだと考えます。そして、その読書活動は教師の読書指導によって成立するものだと思っています。よく「子どもは本来本好きである」と言われますが、決してそうではなく、読書の楽しさを知らず心が開拓されていない子が本嫌いのまま大きくなっていく事実は、いつも実感するところです。 |
本に親しむ場所と時間 坂本中学校 教諭 上森 義喜
私は昭和23年に種子島の農家に生まれました。家はとても貧しかったのですが、幼児期に、父が町に行った折に、絵本を買ってきてくれました。「桃太郎」や「花咲かじいさん」などでしたが、中でも、「ガリバー」が全身を地面に縛りつけられ、小さな人間たちがたくさんガリバーの体に乗っている場面には驚かされました。 |
教育相談セクション
中学校の生徒指導から考える
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学校は、いつもめざす教育ができる条件が整っているとは限らない。豊かな経験やこれまでの指導が通用しない例もあり、また、一つの学級や授業の崩れ、一人の生徒への指導のつまづきが校内で連鎖していくこともある。ただし、学級や授業が突然崩れることはなく、今、困難な状況があるとすると、どこかにその兆候があったはずである。「自分のクラスにはあり得ない」という目で見ていると、見えるはずの課題も見えなくなってしまうものである。
◆学年始めにもう一度状況を確認して つい、前年度と同じ目で見てしまいがちだが、学年が変われば生徒(集団)も変わる。不況の中での影響も考えられる。見通しのある指導目標や計画を立てるために、生徒の実態、家庭・保護者の様子、学区や地域の状況、学校や教師への期待等、そして、「青年期前期(中学生時代)」はどんな時期であるか等を改めて確認して見る必要がある。 |
◆問題行動の原因・行動の分析 表面的に同じように見える行動でも原因や行動のパターンは様々である。「単独か集団か」「偶発的か意図的か」「一時的か継続的か」や「生徒に起因することか教師に起因することか」等々。また、何がきっかけの行動か、背後にある生徒の気持ちやメッセージ等をしっかり受け止めていきたいものである。
◆中学校の生徒指導の取り組みと留意点 小規模校化による少ない教職員数で各校では様々な特色ある取り組みが行われている。
(教育相談担当 齋藤 紘征)
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研修セクション
9月に実施される研修
<<基本研修>>
★初任者研修 9月 9日(火) 学級経営II 13:30~ 研究所 9月16日(火) 教科指導II(小) 13:30~ 研究所 9月30日(火) 教科指導II(中) 13:30~ 研究所 ※9月~11月 4日間 他校種間交流
★6年次教職経験者研修 9月~12月 専門分野研修 各勤務校
★養護教諭 新採用研修 9月9日(火)~10日(水)宿泊研修 県立総合教育センター
<<教育課題研修>>
9月24日(水) 講演『学校を変える』 品川区立冨士見台中学校校長 菅谷 正美 15:30~ 研究所
<<教育相談研修>>
9月17日(水)講演 『不登校支援 身体症状から強く出ているケースへの対応』 横須賀共済病院カウンセラー 田中真樹子 15:30~ 総合福祉会館
<<情報教育研修講座>>
小・ろう・養護学校対象 9月26日(金)・30日(火) 16:00~ 研究所
<<理科研修講座>>
9月17日(水) 小学校・中学校理科教材研究講座 『土地のつくりと変化(小6)』 15:30~ 研究所
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◎夏季研修講座を終えて
■夏季休業が終了し、日焼けした児童・生徒が学校へ戻ってきました。今年の夏は梅雨明けが遅れ、うっとうしい毎日が続き、なかなか夏を感じるまでにならなかったのが遠い記憶のように感じられます。
■とは言っても研修に参加するにあたり、大半の方は、『研修~面倒だな。できれば参加したくないな』と思われるようです。しかし、アンケートに記入された内容を見る限り、研修終了後は、『参加して良かった』と思われる方が多いようです。研修という言葉の意味を辞書で引くと「学術などをみがき修めること。執務能力を高めるために特別に学習すること」とあります。つまり、新たな知識や教養、情報や技術を獲得した満足感が研修後の言葉になるのでしょう。
■教育委員会主催の夏季研修講座も68講座を設け、延べ参加人数はおよそ5,200人を数えることとなりました。昨年度が約3,700人ですから、かなり多くの先生方が積極的に参加したことになります。どの程度、先生方のニーズにお応えできたか定かではありませんが、数多くの先生方が参加いただけたことに感謝いたしている次第です。
■今回の講座を終えて、今後に向けての課題も浮き彫りになってきました。参加数に適した会場の確保、イントラを通じての申し込み等、来年度に向けて更なる検討を続け、先生方にとってより有意義な研修を実施していきたいと考えております。
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指導主事:木屋・望月・北村・椿本
教育情報セクション
■職員室コンピュータが更新されました
夏季休業中に小・中・ろう・養護学校の職員室デスクトップ機が新しいものに変わりました。
■HPが学校から更新できるようになります
保護者や地域で学校への関心が高まる中、情報を得るためにインターネットを手軽に誰でも使える時代になり、スクールページ(学校ホームページ)へのアクセス数も非常に増えています。 |
■巡回学校ITアドバイザーは4名です
現在、常駐の「学校ITアドバイザー」のいない小学校24校、中学校25校、ろう学校、養護学校の51校には、学校からの派遣要請に基づいて「巡回学校ITアドバイザー」が派遣され授業のサポート・校務の情報化のアドバイス等をしています。
巡回の要請をメールで受信した後は、4名の巡回予定と勤務時間数を考慮し、メールでの連絡で要請の希望に合う日程を調整して、学校に連絡をします。調整担当のコーディネーターも巡回学校ITアドバイザーも、日中は派遣先でサポートに付いていますので、自宅間で勤務時間外に調整しているのが実態です。 |
指導主事
高木 TEL:837-1338
一栁 TEL:836-2418
坂庭 TEL:836-6104
こくばん
研究員会だより | |
不登校問題研究員会 『不登校問題に関する研究と対策』 |
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「不登校」の問題は、全国的に大きな教育的課題として認識されています。横須賀市においても、憂慮すべき状況となっています。
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今年度新たに設けられた「不登校問題」研究員会では、この現状を踏まえ、多くの先生方に「不登校」についての理解を一層深めていただき、個々の不登校児童・生徒に的確な指導を行うための具体的な対応策を協議しているところです。
落合 賢一 (常葉中学校) |
平成15年度 学校教育賞に応募してみませんか?
学校教育賞は昭和23年度に設定され、翌年度から表彰を始めています。今年度も以下の内容で募集を致します。
対象 : 本市の教職員または学校教育研究団体
内容 : 教育上の研究、演じ・児童及び生徒の指導に関する創意工夫等(委託・すでに公表されている論文は除く)
締切 : 1月末日(学校長または関係団体の代表が氏名と業績を推薦)
表彰 : 学校教育賞・努力賞を選定し、それぞれに賞状と副賞を授与 夏季休業中に実施した年次研修では、実践レポートをもとにした話し合いをしましたが、非常にすばらしい実践や取り組みの様子がまとめられていました。これらの実践について、さらに詳細に考察を加えれば、十分教育賞や努力賞に値するものがあるのではないかと感じています。
今までの実践で成果を上げたものを先生方は数多くお持ちなのではないでしょうか。それらを文章でまとめ、記録しておくことは他の先生方の参考になるばかりでなく、分析・理論付けによって一般化することで、実践した自分自身の振り返りや確認に大いに役立ちます。是非多くの方の応募をお待ちしています。詳細は学校長または教育研究所にお尋ね下さい。
更新日:2023年10月31日 23:47:57