月報 2004年度 2月号
平成17年(2005年)2月1日
編集発行・横須賀市教育研究所/代表・五ノ井文男
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巻頭
ネットワークの見直し
「リンク切れ」という言葉を耳にすることがあります。インターネットで情報を検索し、目的のホームページをクリックすると、すでに閉鎖されていたり、アドレス(URL)が変更されていて、「ページが表示されない」ことがあり、この状態をリンク切れと言います。このリンクはインターネットの特性の一つで、一つのホームページにある情報は少なくても、他のホームページ・情報へのリンクが張ってあることで、全体としては膨大な情報源になっています。さらに関連する情報が相互にリンクし合い、次々と拡張していることもその特性です。 情報化が加速する中で、インターネットという仮想の空間ばかりでなく、現実の社会生活の中でも様々なリンクがネットワークとして、人と人のつながりを加速しています。異業種交流などの組織間のものから、利害関係を越えた個人と個人のものまであります。また、地域社会の中でも、「新しいネットワークづくり」が様々な形で進められています。 学校でも児童生徒に対して学習指導を行う時、地域の方々に地域講師・アドバイザーとして、協力を頂くことが多くなりました。これも複数で取り組むことによって、それぞれの指導者の持つ特性を引き出すという、ネットワークの例と考えることができます。 また、運動会などの各種行事にPTAとして、保護者の方々の支援を頂いていますが、企画・運営面での協力が中心で、学習指導の場面で支援を頂くことは稀でした。しかし、「総合的な学習の時間」で地域の学習をテーマに取り上げた頃から、地域のことを熟知している方や伝統を受け継ぐ方などを講師として依頼したりすることがより一層多くなりました。 |
これも学校と地域が、新たなネットワークを創り出した成果と考えることができます。 この他にも、学校図書館ボランティアとして、本の修理や掲示物の作成という協力から一歩踏み込み、読み聞かせや紙芝居をするなど、積極的に児童生徒に関わる活動も多くなっています。 このような動きも年数を重ねてきましたので、学校・教員もネットワークを再構築していく必要があります。 さらに、初任者研修指導教員・司書教諭・特別支援教育コーディネーターなど、ここ数年間だけを考えても、様々な課題に対応するため、新しい分掌が位置づけられています。新しい仕事は今までとは異なり、それぞれの個々の仕事で完結するものではありません。例えば、司書教諭については、学校図書館の運営者と単純に捉えてしまえば、従来の図書館担当者と変わるところはありません。しかし、司書教諭が発令された趣旨を考え、図書館を効果的に活用していく中心者と捉えれば、教育課程担当者・学習指導担当者・担任等とネットワークを創っていくことが求められます。 学校はこれまでも、保護者や地域の方々と協力し、児童生徒を指導してきましたが、これからも積極的に情報を交換しながら、新しいリンク先を模索するネットワークを見直していくことが必要不可欠です。 |
(指導主事 一栁直行)
特集
小中連携の実践と効果 |
夢をつなぎ 学びをつなぐ | 小中交流授業で得たもの |
桜小学校教諭 山元悦子 | 馬堀中学校教諭 石井美乃 |
小・中学校が同じ敷地内にあるので、お互いの姿が自然と目に入ってくる。今までも、年間行事に組まれて交流してきたものがいくつかあるが、隣同士であるにもかかわらず、教員同士は顔も名前もあまり知らず、お互いの児童生徒の実態を話し合うこともほとんどなかった。今年度は、すでにそれぞれの学校で教育課程が編成されていた上でのスタートだったので、活動は無理をしないで、職員の交流をメインにした。 (1)教科の年間計画を作成し(カリキュラム編成の第一歩として)、これを利用してお互いの授業参観をした。小中のつながりや他教科との関連・内容の重複・小学校でしっかり培っておくべき内容・指導法のコツ・子どもたちの様子など改めて意識させられ、大変有意義だった。(2)合唱コンクールには、3年目の参加をした。「中学生になったらあんなふうに歌いたい・中学生の前で歌えてよかった」など子どもたちの感想から、中学生へのあこがれや場を共有できることの喜びが伝わってきた。(3)9年間を通して、子どもたちにどんな力をつけたいのか検討している。 9年間の義務教育の学びを充実していくために、小学校6年間で積み上げた学びを土台として中学校へつなげていく必要がある。そのために、小中が同じ視点を持って子どもたちを継続的・発展的に丁寧に指導していくことは必須である。そうすることで、小学6年生から中学1年生へのステップをスムーズにつなぎ合わせることができると考えている。子どもたちの活動も交流の域を脱していないが、両校の良さをプラスできるような場の設定を模索しながら、「学び」をつなぐことができる連携のあり方を探っていきたい。 |
最近「確かな学力」を定着させるために小学校から中学校までの9年間を見通した「学びの連続性」が大切であると言われており、本校においても様々な形で小中連携に取り組んでいる。 体育科では中学生と小学生が一緒にマット運動を楽しむという取り組みを2つの小学校で試みた。一つは大塚台小学校で行われている夏のセミナーへの参加で、小学生と中学生の合同のグループによる「集団マット」の演技創作を行った。もう一つは、選択の授業時間を利用し、中学生が馬堀小学校の体育館へ出向き、小学生に技のポイントや練習方法を教え、一緒に練習をするという交流授業を行った。 これらの取り組みは、体育科の教科目標の一つである「評価活動の充実」を発展させるためにとても効果的であったと考える。中学校の体育授業においても、自己評価能力を高めるための教え合い活動は行っている。しかし、年下の小学生を教えることによって、その小学生の意欲や技の出来栄えはすべて自分の責任であるかのように捉え、普段の授業以上に教え方や励まし方などを工夫している様子が伺えたのである。小学生への関わり方を工夫することによって、小学生の喜びや悔しさを共有し、自分の学習にフィードバックしていたことが大きな成果であった。 今回の取り組みをとおして、小学生には体を動かすことや仲間と一緒に取り組むことの楽しさを味わってもらえたように感じる。更に工夫を凝らし、小中互いに技能や意欲を高め合えるような学習を展開できれば、小中連携の本来の目的である「学びの連続性」に近づけるのではないかと考えている。 |
教育史
横須賀教育史
【写真・資料に見る横須賀の教育のあゆみ 12】
教育研究所と活動・刊行物 横須賀市教育研究所(以下、研究所)の沿革の一部と主な刊行物等の面から紹介したい。 ◆横須賀市教育研究所の推移 本研究所は、新学制がスタートした翌年の昭和23年9月に市立田浦中学校内に、県下では横浜市に次いで設置された。翌年6月に旧陸軍施設を利用した坂本に移転し、学校教育や地域に対して教育の理念や意義を普及し、理解を深める役割を担ってきた。研究所の大きな転機は「横須賀市教育研究所条例」が施行された昭和39年9月であった。独立機関として専任の職員も配置されて、企画運営面でも自主的な活動が本格的に機能し始めたのである。 昭和45年12月に成立した「横須賀市都市基本構想」に「本市教育活動の中核となるべき教育センター設置」が明記された。昭和46~47年度には市民各層の意見、学者・専門家の指導助言をもとに、教育センター設立構想が練られた。 当初の建設計画が用地難等で繰り延べになったが、教育改革進展の中の昭和60年1月に施設が完成し、現在地に移転した。以後、横須賀の教育活動の発信地として、時代の要請に応えられるよう所内の組織、運営面の改変を逐次実施してきた。 平成13年4月より、本市の中核市移行に伴い、県費負担教職員の研修は市で実施することとなった。教員研修・教育調査の中核的センターとしての役割と期待が一層大きくなっている。 |
◆定期刊行物にかかわって
昭和42年度の各号には、女性教師論・教科書論・現代子ども論・しつけ論・学力論・指導主事論・校長論・教頭論・教師論と題して熱く論じられている。この時期の月報には、横須賀市長や中学生、教職員組合委員長などの文も掲載されている。 |
(教育史・図書資料室担当 齋藤 紘征)
事業 | 図書・資料 | 昭和23年9月~ | 研修 | 小学校理科実験・教材講座 | 昭和36年5月~ | 667回 |
教科書センター | 昭和23年9月~ | 読書会 | 昭和40年~平成11年度 | 578回 | ||
教育相談 | 昭和24年6月~ | ゼミナール | 昭和43年~平成12年度 | 479回 | ||
視聴覚ライブラリー | 昭和26年4月~58年9月 | 刊行物 | 自由研究・研究発表集録 | 昭和24年9月~ | 43号 | |
理科教育 | 昭和36年4月~ | 学校文集(小・中別冊) | 昭和25年11月~ | 72号 | ||
情報教育 | 平成2年4月~ | 図書ニュース | 昭和40年~55年度 | 169号 |
※視聴覚ライブラリーは市立図書館に移行
※研究発表集録No.12~No.34小中学校別冊
研修セクション
2月の研修講座案内
☆基本研修
◎初任者研修
8日(火) 13:30~17:00 第1研修室
実践報告会
・実践報告書に基づく班別協議
・閉講式
☆専門研修
◎初任者拠点校指導教員研修
15日(火) 9:30~17:00 会議室
拠点校指導に関する研修
・実践報告
・情報交換
~21年次教職経験者研修を終えて~ |
私が実行しようと決めたことは 教育研究所の研修セクションとしては、学校内における児童生徒指導・教育相談をはじめ、学校経営に関する研修など、今後よりいっそうの充実を図っていきます。
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21年次教職経験者研修が1月6日に終了いたしました。21年次教職経験者研修は、今日的教育課題への取り組みに対する意欲を高め、教育実践の検証と学校運営に積極的に関わる視点を身につけることを目的とした、年間7回の研修です。 今年度の受講者からは、以下のような「ふりかえり」を得ています。 私にとって必要だとわかったことは |
(指導主事 木屋・椿本・北村・北原)
情報セクション
■小学校に導入されているソフトウェアの紹介
忙しくて、小学校のコンピュータにどんなソフトが入っているかよく分からないという声がありました。以下にソフト名だけですが紹介をします。
算数
・小学校算数シミュレーション4.5.6年
・新しい算数基礎基本ドリル
・マルチあきんど・図形編・計算克服編*
国語
・小学校国語基礎基本ドリル
理科
・動画データベース
・マルチメディア図鑑 Navi3本パックA*
・植物の観察3*
・ステラナビゲーター*
社会
・WEB日本の歴史、日本の地理
・データマップ神奈川*
・横須賀市デジタル都市計画基本図
(インストールされている学校のみ)*
音楽
・たのしいおんがく2*
・音楽を作ろう2*
英語
・こりゃ英和!一発翻訳スクール Ver4.0
・SayHello
キーボード練習ソフト
・ケンチャコ大冒険ローマ字キーマスター*
・スペースキーボーダー2
ワープロソフト
・一太郎Ver.11*
HP作成ソフト
・ホームページミックス
・ホームページビルダーVer.6*
画像編集ソフト
・PaintShopPro7J*
・Visual Shot*
統合ソフト
・一太郎スマイル(デスクトップ機)
・スーパーYUKI(デスクトップ機)
・ジャストスマイル(ノート機)
・ジャストスマイル2@フレンド(ノート機)
生徒機管理
・SKYMENU Pro Ver,4.0
注:ソフト名の最後に*印のついているものはデスクトップ機には入っていますが児童用ノート機には入っていないものを示します。
■連載コラム<学校と著作権1> ~自分と他人を大切にすることを学ぶ~
・著作権情報センター「楽しく学ぼう著作権」 http://www.kidscric.com/ |
(指導主事:高木 TEL837-1338・一栁 836-2418・坂庭 836-6104)
こくばん
登校支援の取り組みについて 田浦中学校校長 相澤 宏一
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こくばん
◆今の子どもだって
”子どもの実態”というと、学力の低下をはじめとして、本離れ、体力の低下、基本意識の欠如、はては、木登りができない、魚釣りをしたことがない、日の出・日の入りを見たことがないなど、諸調査をもとにマイナス面のことばかり紹介されています。
確かに、昔の子どもに比べたら、できなくなったり、機会がなくなったこともあるでしょう。しかし、今の子どもだって優れていることがたくさんあるはずです。こんなことができるようになった、こんな力がついた、こんなことをしているなど、学校からもぜひ積極的に発信していきたいものです。
更新日:2023年10月31日 13:42:34